以前、通販用の基幹システム「通販Ace」とEC-CUBEを連携させるという案件のご依頼がありました。連携でどのようなことができるのか、また連携時にどんな点に注意が必要か、少しご紹介いたします。
通販Aceとは?
通販Aceは、エー・アール・システム株式会社が提供している通販業務を効率化するための基幹システムです。
通販業務では、受注管理、商品・在庫管理、顧客管理、出荷処理など様々な業務が必要になりますが、それらの業務を一つのシステムでまとめて管理できる優れものです。当然、この基幹システムとEC-CUBEが連携できたらいいのに...というご要望も出てくるのではないでしょうか。
EC-CUBEとの連携も強化されました
2024年3月より、株式会社イーシーキューブとエー・アール・システム株式会社が協業の取り組みを開始しました。
これに伴い、EC-CUBEに通販Aceとの連携プラグインが提供され、よりいっそうEC-CUBEと連携がしやすくなりました。通販AceにはもともとAPIによる連携機能がありますが、プラグインの登場によって通販Ace APIとの連携がやりやすくなったのではないでしょうか。
通販Aceとの連携でどんなことができますか?
通販Aceでは様々なAPIが提供されています。
例えば受注用のAPIを利用することで、EC-CUBEでの注文完了時に、APIで受注情報を送って自動連携することも可能になります。通販Ace側で出荷処理を行った後、出荷連携用のAPIを通して情報を取得して、EC-CUBE側に反映させることもできます。
在庫情報の連携機能も提供されています。APIで在庫情報を取得して即座にEC-CUBE側に在庫情報を反映させることもできるかもしれません。在庫状況を素早く反映することで、在庫切れによるトラブルや機会損失を減らすことができます。
顧客情報の連携も可能なので、顧客情報や購入履歴を連携して一元管理することで、作業の効率化を図ったり、マーケティング戦略に活用することもできるでしょう。
連携時の注意点について
通販Aceに限りませんが、APIによる基幹システムとの連携には下記のような点を注意する必要があります。
・連携タイミング
例えば、在庫連携を考えた場合、在庫が変動するタイミングというのはたくさんあります。
EC-CUBEでは購入完了のタイミングで在庫をチェックして減らしています。でもそれ以外にも、注文後に数量変更があったり注文がキャンセルになったり...商品登録画面から変更されたタイミングでも変動するでしょう。それらに加えて、基幹側で数量が変更されているという状況が発生します。商品詳細画面を表示したタイミングで最新在庫状況を取得して表示したい時もありますよね。
様々な状況で変動する項目なので、どのタイミングでデータをEC-CUBEに取り込んで、どのタイミングでデータを通販Aceに送信するのかよく考える必要があります。これは在庫だけでなくすべての連携項目に言えることですね。
・連携のデータ量(連携頻度や1回の連携のデータ量)
こちらも在庫の連携で考えてみましょう。通販Aceの基幹システムでは1SKU毎にデータが管理されています。一方、EC-CUBEでは規格によって商品が登録できるため、1商品に複数のSKUが紐づく場合があります。EC-CUBEの1商品分の在庫を更新しようとしたときに、通販Ace側には複数回のAPIによる在庫問い合わせが必要になるかもしれません。この回数があまりにも多くなると、通販Ace側のサーバーに大きな負荷がかかるでしょう。
在庫以外のデータに関していうと、APIを通して大量の情報を取得しようとすると、当然ながら通販Ace側のサーバーに負荷がかかります。その場合は情報を分割して取得するなどの工夫が必要になってくるかもしれません。
・連携項目の調整
通販Aceにはとてもたくさんの機能があります。フリー項目という何でもござれの素晴らしい機能もあります。とはいえ、必ずしもそれらの項目がEC-CUBEの項目にあてはめられるかというとそうではありません。また前述の通り商品の管理単位も異なります。そのため、どの項目をどのように連携させるのか、事前によく検討して実装していく必要があります。
このような特性上、EC-CUBEと通販Aceの連携プラグインでは、API連携用の機能は提供されていますが、現時点では具体的なデータの連携部分は作成されていないようです。
もしもEC-CUBEと通販Aceの連携をご検討されている場合はぜひEC-CUBE工房にご相談ください。