複数選べる決済モジュール EC-CUBEが普及している大きな理由のひとつは、複数の決済代行会社と接続するためのモジュールがあらかじめ準備されているという点があげられると思います。しかも最近ではモジュールを提供している代行会社が増えていますし、カード以外の決済にも対応しています。たいへんありがたいことなのですが、逆にどれにしようか迷ってしまいそうですね。
今回はその中でモジュールを選ぶ際のポイントを、いろいろあるとは思うのですが主要なものを3つまとめてみたいと思います。
1・コスト
それぞれの代行会社のコストについてはEC-CUBEの以下のサイトの「契約内容で比較する」に記載されています。
http://www.ec-cube.net/product/comparison.php
・・と言いつつ、「個別対応」となっているケースが多くてこれでは比較できませんね。なので、結局各社に見積をとってみないとわかりません。
見積は上記URLの「契約内容で比較する」表にあるように、「初期費用」「月額料金」「処理手数料」「与信料」といったそれぞれの金額が提示されると思います。各社、料金には傾向がありまして、「初期費用」や「月額料金」のような固定費や安く、「処理手数料」といった変動費が高いタイプや、反対に固定費は比較的高く変動費が比較的安いタイプなどがあります。それで、目標としている月間売上金額や、1注文あたりの平均金額などを想定して、各社から提示された条件でシュミレーションしてみることをお勧めします。その結果を決済代行会社の担当者に、こういう計算になりますか?と念のため聞いておくと間違いないでしょう。
1回の注文あたりの平均金額が関係するのは、最低手数料が設定されている場合があるからです。例えば3.0%の料率で最低手数料200円だった場合、2,000円決済した場合は3.0%の60円ではなく200円になります。ですから10.0%になってしまいますね。低額の決済の場合、割高になるケースがあることにご用心です。その場合、EC-CUBEでは決済額によって選べる決済方法を制限できますから、その機能を使って定額の注文はカード払いできなくしたりすることも可能です。
そのほか、1注文あたり処理手数料以外に固定のトランザクション料とか与信料が発生するケースもあります。1注文での決済金額が大きい場合、%でいえばごく小さい金額でも、低額の決済が多い場合は結構重い負担になるので注意が必要です。なので、このあたりは見積もり担当者にしっかり確認しておく必要があるでしょう。
その他、比較が難しくなる理由として、各社の用語の使い方が微妙に違っていたりすることもあげられると思います。
例えば「契約内容で比較する」表ではソフトバンクペイメントですと料率3.5%とありますが、ASP基本使用量が0.5%なので実質4.0%ですね。実際は他社もシステムの利用料も料率に含まれてるのかもしれませんが「込み」の料率で書いているということなのだと思います。どちらが良いとはいえませんが、比較のときには注意が必要です。
また、カード以外の決済(コンビニ決済、ペイジーなど)を利用する場合は比較的、初期費用や月額費用が高くなる傾向があります。なので、カードのみの対応にされるショップオーナーが多いようですね。
2・機能
次に以下URLの「EC-CUBEモジュールの搭載機能で比較する」というところを見てください。これは結構重要です。
http://www.ec-cube.net/product/comparison.php
まず見て欲しいのが、リンク型、埋込型というところです。リンク型はクレジットカード情報を入力する画面のURLが決済代行会社のドメインになります。一方、埋込型は自社ドメインの中です。ドメインが変わるのがイヤだと思うショップオーナーの場合、埋込型を選択するということになります。
次に3Dセキュア。普通、クレジット番号と有効期限を入れるだけで買い物できてしまうのですが、それってちょっと危なっかしい気もしますよね。3Dセキュアだと、それにくわえてパスワードを入力させることによってセキュリティを高めます。そのパスワードは、たとえば、JCBだとMyJCBにログインするためのパスワードです。3Dセキュアを導入する際に気をつけるべき点は、パスワード未設定の場合、3Dセキュアのパスワードを要求せずに従来どおりクレジット番号+有効期限で買い物できるか、というところです。そうなっていなければ、たとえばMyJCBのアカウントをつくらないと買い物できないということになって、機会損失してしまいます。3Dセキュアはセキュリティを高めますが、購入者にとって面倒にもなるわけなので、そこのところはよく考えて導入されることをオススメします。
モバイル対応はケータイですね。ほとんど対応できるようです。
次に分かりにくいのが仮売上対応です。これは注文時にはオーソリ(与信と決済の予約みたいなもの)だけとって、発送完了して売上を立てるというものです。すぐに発送できる場合は、オーソリと売上と同時でよいと思いますが、商品によっては納品まで1月以上かかる場合もあるかもしれません。そういう場合、注文と同時に売上確定してしまうと、場合によっては納品する前にお金を引き落とされるケースもあるかもしれません。そのため、オーソリと売上確定を別にすることができるモジュールがあるわけです。便利なようですが、反対に、わざわざ売上確定しないと回収できないわけですから、面倒な手間が増えるとも言えます。なので、かならずオーソリと売上確定をしないといけないのか、同時に売上確定をする設定もあるのか、そのあたりはキチンと確認しておく必要があります。
各種オプションはクレジット以外の決済です。クレジットだけでよいと考えるか、選択肢は多ければ多いほうがよいと考えるか、そこは考え方次第だとは思いますが、対応する決済が増えれば運用の複雑さも増えるということも忘れないようにしましょう。もちろんコストもかかりますし。
その他、決済会社の管理ページの使い勝手の良さがどうかということもできれば確認しておきたいところ。キャンセルが発生したときなど、どうやって処理をしたらよいのでしょうか。どの会社も対応できるようになっていますが、使い勝手は多少違いますので、可能ならそういう情報も注意してみるとよいと思います。当工房の場合も、できれば使ったことのある決済代行会社をオススメしてしまうのですが、その理由としては使い勝手が分かっていて、お客さんからの緊急の質問に答えやすいということがあるのです。
他の点としては、テスト系が充実している会社はありがたいケースがあります。決済モジュールを改造する場合は必須です。また、オープン前にダミーのカード番号で決済のキャンセルなどもリハーサルできるとありがたいです。テスト系がなくても本番系で自分のカードで決済してキャンセルしてもいいのですが、ちょっと気持ち悪いですよね。
3・締めと入金
最後に、忘れてはいけない重要な点です。代金引換に比べると、クレジットは現金を回収できるまでの期間が長いので、どういうサイクルで現金が回収できるのかをしっかりチェックしておく必要があります。
たとえば、末締め・翌月末の場合、7月1日に売れると入金は9月30日ということになります。会社によっては月2回締めを選べるケースもあります。1-15日は20日に締めて翌月20日に入金、16-末日は翌5日に締めて翌々月5日に入金といった感じです。ただし2回締めは月額費用がちょっと高くなるとか、条件は変わる場合があります。
その他の注意点として、上記の3点以前の問題ですが、審査を通るかどうかが重要です。この審査には商材も関係してきます。たとえば業務用商品は対象が個人ではないから通らないということがあります。法律的に問題ありそうなものやアダルトも通らない可能性が高いです。