EC-CUBE工房 BtoB ASP
投稿日:2013/05/07
ECサイトと企業間取引(BtoB)
EC-CUBE工房への問合せの中でも、企業間取引のコスト削減にEC-CUBEを利用したいという相談は結構な数に寄せられます。
まだFAXで注文書を受付けている企業も多いようです。FAXを受けて急いで在庫状況を連絡したり、販売管理システムに入力したりしています。注文用のカタログをシーズンごとに送っている企業もあります。WEBで受注できるようになれば、在庫はその場で確認できますし、販売管理システムへもCSVデータなどで受注情報をインポートしたりできそうです。カタログを送付しなくても新商品の案内もできますし、BtoCでよく使われているようなお勧め商品の仕組みを使えば、販売促進効果も期待できます。BtoC のECの世界では、EC-CUBEの普及により手軽にECサイトを立ち上げることができるようになったのですから、BtoBの受注でも応用できるのではないかと考えるのは自然な流れです。
とはいえEC-CUBEをBtoBで利用しているケースは実はあまり多くないというのが実情です。EC-CUBEをBtoBに利用するためにはかなりのカスタマイズを実施する必要があり、そのため初期コストが高くついてしまうのです。EC-CUBE 工房 BtoB ASPは多くの企業から寄せられたリクエストを汎用的な仕様にしてあらかじめ実装して提供することにより、もっと多くの企業にEC-CUBEをご利用いただくために開発されました。
BtoBのための機能
会員名の法人化
一番最初に気が付くのは、会員名に会社名や部署名を記入できないと使えないという点です。これは一見すると簡単なカスタマイズのように思えますが、単純に会員登録の画面に法人名を追加すればよいだけではありません。注文データの注文者と送付先にも法人名が必要ですし、会員が登録するお届け先にも法人名が必要です。注文受付メールにも納品書にも法人名が必要であり、データのCSVや宅配業者向けのデータにも法人名が必要です。法人名を追加するというカスタマイズはかなり広範囲に影響があります。もちろん、EC-CUBE工房 BtoB ASPには標準で、会員データ、配送先データ、受注データに法人名が追加されています。また法人向けデータでヤマト運輸のB2と佐川急便のe飛伝用のデータ出力もできるようになっています。
クローズサイト化
BtoBの取引では卸が小売店向けに特別な価格で商品を提供している場合が多いので、一般の人にはサイトを見せたくない場合があります。ただし、販路は拡大したいので、定価ベースでの商品一覧は表示し、会員登録画面から取引を申し込まれた場合、審査の上で取引を開始したいと考えます。WEBで販売することのメリットの一つは販路拡大という面もあります。EC-CUBE工房 BtoB ASPではページ単位での限定表示機能と、価格の限定表示機能があります。会員以外には全くサイトの内容を表示しない完全クローズサイトから、非会員は注文できませんが、商品の一覧を見て取引の申し込みはできるサイト、また誰でも購入可能なサイトまで、機能を組み合わせることで実現可能になっています。また、会員は登録後に管理画面から本会員に変更しない限りログインできないようにする機能もあります。
複数価格
EC-CUBE工房 BtoB ASPでは一つの商品(規格)に対していくつかの価格を設定できます。もっともメッシュの細かいものから、次のような価格があります。(1)商品(規格)別会員別価格:特定の顧客向けの特定の商品の契約単価です。(2)会員ランク別商品別価格:会員にランクを設定でき、商品にはそれぞれのランクの会員向けの価格が設定できます。(3)会員ランク別割引率:会員ランクに割引率を設定しておけば、販売価格から割り引かれた価格で注文できます。ただし割引対象外商品を設定できます。(4)通常の販売価格:EC-CUBEデフォルトの販売価格です。(1)の設定があれば(1)が優先されます。(1)~(3)の設定が何もないケースでは(4)の通常の販売価格が適用されます。
消費税の扱い方
BtoCの世界では、商品価格について総額表示の義務があるという点です。つまり税込み価格で商品を表示しないといけないのです。そのためEC-CUBEでは、税抜商品価格に対して税率を乗じたものを商品価格としてお客様に対して表示しています。一方、BtoBの世界には総額表示の義務はありません。そのため、総額表示が義務付けられる前と変わらず、伝票単位で税抜商品価格を合計し、一括で消費税を計算するケースが多いのです。比較的大きな数量で取引する場合、単価のレベルで税額が計算されるか、伝票の単位で税額が計算されるかで、自分が損をするか、お客様が損をするかが変わってしまうこともあるでしょう。そのため、EC-CUBEデフォルト方式の税金計算方法に変更しようと思っても、得意先に納得してもらえないということもあります。EC-CUBE工房 BtoB ASPではEC-CUBEデフォルト形式と伝票一括形式を選択することができます。
注文書風の注文
定番商品しか注文されないようなお得意先の場合、定番品の商品番号は憶えてらっしゃる方も多いようです。そのような場合、商品一覧から商品を探してカートに1個ずつ追加していくよりも、注文書に手書きで商品コードを書いてFAXしたほうが楽だと感じることもあるでしょう。そのような得意先にもWEB注文を利用していただくために、注文書風の注文画面を追加しました。またEC-CUBEデフォルトにも購入履歴から同じ内容での再注文機能がありますので、リピート購入はそちらの方法も簡単だと案内することもできるでしょう。
見積書印刷
お客様によっては、注文前にどうしても見積書が欲しいとおっしゃる場合もあります。カートに投入した商品の内容でお客様がセルフサービスで見積書が印刷できれば、運営者の労力節減になりますし、スピーディーに取引するために役に立ちます。EC-CUBE工房 BtoB ASPには見積書をPDFでダウンロードする機能と、その見積書に基づいた注文を1クリックで実施する機能が用意されています。
他システム連携機能
BtoBに限らずですが、ERP、基幹系システム、販売管理システムに受注データを連携する必要があります。EC-CUBEデフォルトでは受注明細レベル、つまり商品コードや数量、単価を含んだデータ出力機能がありません。EC-CUBE工房 BtoB ASPには受注明細CSV出力機能とカラム設定機能があり、種々のシステムに適用できます。とはいえシステム連携には考慮すべき要素が多くあります。そのため他システム連携については有償でコンサルティングメニューを用意しています。
EC-CUBE工房 BtoB ASPの制限事項
ベースバージョンをEC-CUBE2.12.3としているため、2.13より対応予定の海外対応はできません。2.13では商品別消費税率設定が可能になる予定ですが、EC-CUBE工房 BtoB ASPでは全商品一律設定のまま、税率変更に対応しています。
モバイル(フィーチャーホン)機能はカットしています。
複数配送機能はカットしています。データが他システムで扱いにくくなるためです。
一部プラグインは動作しません。ほとんどのプラグインはカスタマイズされているEC-CUBE上では動作しません。利用したいプラグインがございましたら、有償にてプラグインが動くように調整することも可能です。
スマートフォン対応
EC-CUBEの優れている点の一つにスマートフォンへの対応があげられます。スマートフォンはビジネスの現場でもこれからはどんどん利用されるものと思われます。もちろんEC-CUBE工房 BtoB ASPもスマートフォンから利用することができます。ただし注文書風注文画面など狭い画面では操作が難しいと思われる機能は搭載していません。