まず、インボイスであるためには請求書発行事業者の登録番号を表示する必要があります。
管理画面上、登録番号を登録できるようになり、納品書にも記載されるようになりました。
次に、Ver4.2以前の納品書には税率ごとの税額が表示されていませんでした。8%対象10%対象それぞれの支払合計額は表示されていますが、それぞれの税額は記載されていません。適格請求書では、税率ごとの支払合計額に加えて 8%対象10%対象それぞれの税額を記載する必要があります。
EC-CUBE4.1の納品書 税額の記載はない
EC-CUBE4.2の納品書 消費税率ごとの税額の記載がある
Ver4.2では単純に表示を増やしただけではなく、税額の計算ロジックも変更されています。
実は、Ver4.2未満でも、もともとEC-CUBEの注文データの中には実は8%対象10%対象それぞれの税額を持っていました。ですがその税額計算の方法がインボイス制度に対応したものになっていないので、ただ納品書の記載項目を増やすだけでは対応できません。インボイス制度に対応させるためには、表示だけでなく計算ロジックも修正する必要があります。
もともとのEC-CUBEの税額計算は商品単品の税額の積上方式になっていました。インボイス制度以前では、税額を表示しなくても良かったので内部で持っている税額の計算方法が正しくなくても表面上は問題に見えませんでした。積上方式では商品ごとに端数の丸めが行われるので、商品ごとの税額を積上げると税率が10%あるいは8%にはならない場合があります。そこで本来は税率ごとの税込価格の合計から割戻して税額を決める必要があります。
4.1の場合
単価 | 表示単価 | 数量 | 本体 | 税額 | |
---|---|---|---|---|---|
商品A | 157円 | 172円 | 3 | 471円 | 45円 |
商品B※軽減税率 | 598円 | 645円 | 3 | 1,794円 | 141円 |
4.2の場合
単価 | 表示単価 | 数量 | 本体 | 税額 | |
---|---|---|---|---|---|
商品A | 157円 | 172円 | 3 | ||
商品B※軽減税率 | 598円 | 645円 | 3 |
本来はインボイス制度導入以前から割戻方式で計算する必要はあったのですが、それまでは税額を表示していなかったので問題が顕在化しませんでした。今回税額を表示することになり、この点を修正する必要があります。
なお、このような問題が発生するのは総額表示方式だからこそです。総額表示方式が義務となってはいないBtoBの取引において、税抜商品額を合計して最後に税率を乗じて消費税額を計算しているのであれば、別の対応が必要になります。