EC-CUBEをインボイス制度に対応させるにはどうすればよいですか

  • EC-CUBE4系
投稿日:2023/06/16
インボイス制度とは、正式には「適格請求書等保存方式」と言い、2023年10月1日から開始される制度です。
2023年4月時点でのEC-CUBEの最新版、Ver4.2.0ではインボイス制度に対応しています。

それ以前のEC-CUBEのバージョンと何が変わったの?
以前のバージョンをインボイス制度に対応させるためには、どこを変えたらいいの?

おもな変更点を2つほどあげよう


「適格請求書」というくらいですから、請求書を変更しなければならないはずですが、EC-CUBEには請求書はありません。BtoCのECサイトでは商品を発送する前にクレジットカードなどで決済しているので、請求書は送付することはなく、納品書を商品と同梱してお客様に送付することが一般的です。そのためEC-CUBEでは納品書の印刷機能のみ存在しています。このようなケースでは納品書をインボイスとして扱うことができます。Ver4.2の納品書はインボイス制度に対応したものになっています。


公式サイトの「インボイス制度とは?EC-CUBEで対応すべき内容を解説」も参考になるんじゃよ


請求書発行事業者の登録番号の表示


まず、インボイスであるためには請求書発行事業者の登録番号を表示する必要があります。


管理画面上、登録番号を登録できるようになり、納品書にも記載されるようになりました。


管理画面
管理画面


税率ごとに区分した消費税額の表示


次に、Ver4.2以前の納品書には税率ごとの税額が表示されていませんでした。8%対象10%対象それぞれの支払合計額は表示されていますが、それぞれの税額は記載されていません。適格請求書では、税率ごとの支払合計額に加えて 8%対象10%対象それぞれの税額を記載する必要があります。


EC-CUBE4.1の納品書 税額の記載はない
EC-CUBE4.1の納品書


EC-CUBE4.2の納品書 消費税率ごとの税額の記載がある
EC-CUBE4.2の納品書




税額計算の変更


Ver4.2では単純に表示を増やしただけではなく、税額の計算ロジックも変更されています。
実は、Ver4.2未満でも、もともとEC-CUBEの注文データの中には実は8%対象10%対象それぞれの税額を持っていました。ですがその税額計算の方法がインボイス制度に対応したものになっていないので、ただ納品書の記載項目を増やすだけでは対応できません。インボイス制度に対応させるためには、表示だけでなく計算ロジックも修正する必要があります。


もともとのEC-CUBEの税額計算は商品単品の税額の積上方式になっていました。インボイス制度以前では、税額を表示しなくても良かったので内部で持っている税額の計算方法が正しくなくても表面上は問題に見えませんでした。積上方式では商品ごとに端数の丸めが行われるので、商品ごとの税額を積上げると税率が10%あるいは8%にはならない場合があります。そこで本来は税率ごとの税込価格の合計から割戻して税額を決める必要があります。


4.1の場合

単価表示単価数量本体税額
商品A157円172円3471円45円
商品B※軽減税率598円645円31,794円141円

商品単価に税率をかけて切り捨てした税額を、積上げて合計したものを全体の税額としていた。
商品Aの本体価格の合計は471円なので、税率10%の税額は47円でなければならないが、この方法だと税額は45円になってしまう。
このケースでは、商品は3個を毎回税率計算を行ったため3回切り捨て処理が行われている。


4.2の場合

単価表示単価数量本体税額
商品A157円172円3470円46円
商品B※軽減税率598円645円31,792円143円

10%の明細行の金額を合計し、その金額に10/110を乗じて税額を計算し残りを本体価格として計算する。
税額は47円にはなっていないが、総額表示方式の合計から割戻方式で消費税を計算することは許されている。




本来はインボイス制度導入以前から割戻方式で計算する必要はあったのですが、それまでは税額を表示していなかったので問題が顕在化しませんでした。今回税額を表示することになり、この点を修正する必要があります。


なお、このような問題が発生するのは総額表示方式だからこそです。総額表示方式が義務となってはいないBtoBの取引において、税抜商品額を合計して最後に税率を乗じて消費税額を計算しているのであれば、別の対応が必要になります。



以前のEC-CUBEのバージョンのまま、インボイス制度に対応させるコードを次の記事で紹介するのじゃ
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